セルゲイ・パラジャーノフについて
皆様こんにちは。右側です。
今回はセルゲイ・パラジャーノフについて書きたいと思います。
昨年(2015年)、池袋文芸坐で、パラジャーノフのオールナイト上映がありました。
右側もホクホクしながら参加しましたが、眠気と神秘的な映像が混ざり合い、朝方にはヘロヘロになっており、正直、詳細なストーリーはあまり覚えていないのです…。
来たる4月16日から、新宿ケイズシネマにて、特集上映があるそうで、これはもう一度おさらいしに行かなければなるまい!と思っています。
パラジャーノフの映画の切り取った一つの静止画のなかには、思想が溢れんばかりに詰め込まれています。
パラジャーノフは、旧ソ連の骨董商のもとに生まれ、旧ソ連国立映画大学の監督科で映画を学び、1995年には叙情的な世界観で綴った長編が国際的に注目を浴びました。
(この作品のタイトルは『忘れられた先祖の影』ですが、66年にフランスで上映された際、『火の馬 』と改題され、日本でもこちらのタイトルが使われています。)
彼の作品は、当時のソ連から不当な扱いを受けていたウクライナの知識人の開放を世界に訴える役割も果たしました。
しかしそういった反体制的な思想のせいでパラジャーノフは、その生涯のうちに、密輸、賄賂、ホモセクシャルなどの容疑をかけられ、二度の監禁、逮捕を経験しています。
その監禁生活の中で、パラジャーノフは無数のオブジェやコラージュ作品を残しています。映画の中にも、そういった創作の影響が随所に見受けられます。
パラジャーノフの作品は、アイデンティティの証明の方法が独特で、それがとても濃厚に描かれているなと感じました。
そしてそれが有無を言わせず、美しい。
グルジア(パラジャーノフの生まれ故郷)の独特な文化や宗教表現が、ロシアでも、オリエントでも、ヨーロッパでもない見たことのない世界観をもって鮮明に描かれていて、とても魅力的なのです。(こういう文化をコーカサス 文化というそうです)
一見で内容を理解することは出来ませんでしたが、その鮮烈な印象はいつまでも心に残りました。
右側的には、『ざくろの色』の画面構成が特に素晴らしかったと思います。
平面的で、端正な構成の中に徹底的な色彩設計がなされています。
(『ざくろの色』は、68年に『サヤト・ノヴァ』の題で公開されましたが、即打ち切りとなったので、改題と短縮編集をしたうえで71年に公開されたものです。)
皆様も是非、春のうららかな雰囲気の中、セルゲイ・パラジャーノフの世界観にひたってみてはいかがでしょうか?
それではみなさま、良い映画生活を。
映画の右側